ベーシックインカム実現案

国の財源はゼロ! そんなベーシックインカム方式を考案してみました。民間や自治体・教育機関でも、奨学金給付レベルならば、独自で実現できます。

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今後、IT化やAIの導入で必要労働力が減少する環境、それにともなう貧富の格差が増大が想定されます。経済的に子供をもてない、老後に不安がある等の経済的側面からの行動萎縮、さらに新しいことにチャレンジ/再チャレンジできる社会を実現するために、ベーシックインカムは、「なるべく早い時期での実現」が必須といえそうです。

今回は、資本収入と労働収入の乖離が進んでいる「資本主義経済」において、資本的収入を使ったベーシックインカムを実現するアイデア「喜連川プラン」をご紹介したいと思います。なんといっても、国の財政に影響が少ないというのがメリットです。

ご説明をする前に、FIREはご存じでしょうか? FIREは、経済的な独立性を確保し、早期の引退をはかる考え方です。

FIREでは、資金を貯め、それを年間7%で運用(米国の場合は7%で運用、物価上昇率3%、生活は4%の範囲内)することを目標にします。今回のアイデアでは、「資金を貯める」部分を「低利借入金」とし、FIRE状態を作り出すことがキーになります。

奨学金の例で考えてみましょう。

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■奨学金をベーシックインカムで実現する■

基本構成: 学生Aは、2000万円を借りる。
金利3%で運用すると、年間60万円となり、月額5万円の収入を得る。

通常、学生Aは2000万円を借りることができません。しかし、Aという人材には、2000万円以上の価値があります。たとえば、国から見れば、生涯に2000万円以上の税金を支払うことが期待できますし、極端に「生命の値段」と考えても、2000万円の保険に入ることや、事件事故の賠償金で2000万円以上と判定することは多いものです。

構成1: 学生Aは金融機関から2000万円を金利1%で借りる。ただし、「全額投資信託に回し、これを担保にする」条件とする。投資信託は金利4%で運用する。

この場合、「管理機構(公益社団法人)」が取り仕切れば、構成的には成り立ちそうですが、下落リスクの保証に難点があります。この場合、「国が保証する」というのが一番良く、国側は「保証するだけ」で「お金を拠出することなく」、奨学金(ベーシックインカム)を提供することができます。

なお、国が資金を拠出し、フルに関与するのであれば、次の構成でも良いと考えます。

構成1(国):ベーシックインカム対象者毎に、国が2000万円を基金として準備し、金利3%で運用する。

この場合、基金を準備する時期を、対象者が生誕した段階、中学生になった段階など、国側で自由に決めることができます。また、停止する時期も自由に決めることができます。停止時期を終生とした場合は、高齢年金としても運用できます。ただし、国が資金を出す場合、これは政策としては良いが、民間のパワーを活かすことにはなりません。もちろん、それでも、全国民にこの方式で毎月5万円を渡し、現行の年金や社会保障をゼロから組み立て直すと、公平な社会を構築できる可能性があります。

なお、上記までのプランでは、国が関与するとしても、「展開力」「民間パワー」「保証リスク」に課題があるため、これらの解決のため「金利付きステーブルコイン」導入についても考案してあります。証券会社・金融機関・民間会社や自治体等で、ご興味があれば、計画案をご提供いたします。

■奨学金の例での業務フロー

=口座開設=

1.中学生になった時点で学校から資料を配付。

2.学生本人が金融機関(もしくは機構)に対し、自分名義で申し込み。18歳未満は親権者の「承諾書」(金銭的保証不要。偽装した場合は犯罪)。「学業保証書」(学校や教師等が保証。虚偽の場合は犯罪)。申込者自身のeラーニング講習完了証明書。貸し出し金融機関による直接面談。

3.機構は審査後、口座(基金口座・収益利用口座)を開設。

=利用方法=

1.毎月、指定したアドレスに対し、利用口座残高の連絡(電子メール・SNSのDM・SM)

2.中学生の場合、義務教育であるので、基本的に利用口座からの出金はできず、利用口座からの金融機関への金利の支払いのみで、利用口座に収益が蓄積される。申し込むだけで、高校生になる時点(36ヶ月後)で、120万円が貯まっており、入学金等、高校からの学費や生活費に充填できる。

3.毎年、学業保証書の提出をおこない、指定eラーニングを受講し合格すると、基金借り入れ分の金利1%を機構もしくは学業推進財団等が補填する。したがって、受け取り年利は3%となり、高校生になる時点で180万円が貯まっている。その後、利用方法は学生に委ねられる。

4.高校生になる前に学生が死亡した場合は、自動的に精算される。利用口座分残高は機構が取得する。

5.利用口座からは、直接、学費や学業経費、買い物に利用できるように提携利用先企業を増やす。もしくは、学校等への支払いを代行する。もし奨学金ではなくベーシックインカムとしての面が強ければ、利用方法は制限するべきではない。

6.提携企業・団体は、決済手数料(0~10%程度)を支払う。提携企業は、ショッピングモールではなく、自己の勘定と責任で物販・サービスを提供する企業(アマゾンは×で、メーカーやオンライン電気店等はOK)および、教育機関・教育産業とする。寮や賃貸不動産もありえる。最低価格保証で参加する。この決済手数料をシステム運用費にあてる。

7.学生の身分で無くなった場合は、機構等からの金利補給が無くなる。金融機関は貸し出し契約の変更を実施する。もしくは、金利調整で対応し、そのまま継続できるように構成する。

■ここまでの各団体のメリット整理■

貸出金融機関→機構や国の元本保証付きで貸出先を拡大。

学生→リスク無しで、毎月3万円~5万円を取得(ベーシックインカム)

機構→多くの資金を準備しなくても、信用力があれば、システムの運用構築ができ、学生の学習環境充実、奨学金問題などの社会的問題に対処できる。また、主な資金運用を株式とすれば、優良企業の大株主となり発言権を増すことができる。基金が充足してくれば、研究開発や平和活動の基金としても活動できる。

資金運用会社 → 運用を委託され、運用手数料を取得。超過利益については、契約に基づいて、機構もしくは別の公益財団に対しての寄付金とする。

 → 学生の修学環境整備が民間のパワーで実現するため、国の予算を別の項目に割り当てることができる。国が保証を付ければレバレッジを上げることが可能で、より多くの学生に対処できる。

■利回り運用について■

2021年10月時点では、銀行・商社・素材関連企業の配当利回りは3.5-5%、収益はPER10程度なので収益利回りは10%を超える。出資金額が小さいうちは、これらの企業集団への投資、不動産REITへの投資(設立を含む)等で、4%利回りは達成できると考えられる

=下落リスクについて=

リーマンショック等も含め、株価が下がった場合、株式ベースの信託担保(保証)価値が下がることになる。また、解約が発生した場合、保証金額(学生に対し元本保証)まではその金額を補填しなくてはならない。日本が壊滅的な経済状況等、想定外の事象が発生した場合など、最終的に補填できない場合は、機構・国・金融機関の不良債権となる。

なお、株価が一時的に半額に下がったとしても、配当金額に変化が無ければ、担保価値の毀損だけであり、利子供給という点ではシステムへの影響は少ない。

この観点から見ると、①株価上昇=配当利回り減少(一般的に金利低下時)、②株価低下=配当利回り上昇(一般的に金利上昇時)を基軸として、③株価上昇=配当増加(好景気)、④株価低下=配当減少(不景気)の4つの場合に対処できる仕組みが必要となる。

現在の状況(優良企業がPER10、配当3-4%)であれば、機構は、年間総投資額の5-6%の収益(キャピタルゲインを含む)が見込める。したがって、10年現状を維持できれば、年間総投資額の50%を保持できるので、株式市場が50%下落した状況においても信用リスク問題を回避できる。

運用代行機関について■

資金を運用するのは、機構や国で審査され許可された「投資ファンド・証券会社・金融関連企業」などである。

過剰なアクティブ投資を防ぐため、また、ある程度公共の概念から、以下のような契約が考えられる。

1.市場環境を考慮し、機構・国側は、目標運用利回りを定める。現況であれば、4%(受け取り時)とする。
2.運用委託料として、利益の10%(運用資金の最大0.4%)を支払うが、運用利回りが2%を下回る場合は、これを支払わない。
3.機構/国側は、4%以上の利益は受け取らない。
4.運用側は、超過利益を、あらかじめ「機構/国側」が指定した公益社団法人のリストのうち、いずれかを選択し、寄付を実施する。機構が含まれていても良い。

■少子化対策への応用について■

「0歳時」からという構成にした場合、保育所経費、家賃、生活支援などに利用できるベーシックインカムを供給する。機構側としては、「子供」へのベーシックインカムであるので、これが親の遊興等など、不用意に利用されない制度保証が必要となる。やはり、eラーニング受講や宣言書・保証書などが必要となる。これは、少子化対策の一環としての活動と考えられるため、裕福な家庭であっても、そうでない家庭であっても、区別なく受け付ける。あくまで、このベーシックインカムの受給者は「子供」であり、親では無い。ここは制度設計で大事なポイントと考えている。

■スタートするために必要な事項■

・経済的信用力がある個人・団体の参加による機構構築と、公益財団化、国家機関の承認

・寄付金・出資金の募集。または担保無しでの貸し付け金確保。

・窓口および貸し出しをする金融機関の確保と、契約・規定の策定。この部分は、その時のプライムレート等が関与する。学生個人への貸し出しに対して、機構が全額保証するという形式。

(考察)当初の貸し出し人数は、基金の信用力の2倍程度までを想定。基金が2000万円(資産もしくは信用力)+貸し付け4000万円=4000万円の運用で50%下落すると保証困難となる。機構が400億円の信用力(資産もしくは劣後借り入れもしくは連帯保証)があれば、初回は800億円(4000人)。4000億円の信用力があれば、初回は8000億円(4万人)の対象者となる。
 信用力の保全のため、参加金融機関に機構もしくは、運用機関への出資を求め、同時にレバレッジを上げる方式も考慮する。この仕組みは、基金の信用力で、金融機関の貸し出し金額のレバレッジを成立させることである。もし、国が機構の信用力を担保できるのであれば、かなり大きなレバレッジが可能となる。レバレッジを20倍にできた場合、400億円の信用力であれば、8000億円(4万人)、4000億円であれば、8兆円(40万人)まで募集できる。もしくは金融機関についても、基金の子会社にできるようであれば、レバレッジはコンプライアンスの許す範囲内で増大することができる。学生1000万人を対象とするのであれば、基金は10兆円が必要であり、運用規模は200兆円となる。
 個人や団体レベルの基金であると、全学生を対象とすることが難しいため、かなり高学歴・成績優秀な学生に限定するか、地方自治体と連携してその自治体内のみとするか、など、スタート時には学生の選別が必要と思われる。

★ベーシックインカムに対して、これを実現するための強い意志と、営利目的で無いことが社会的に認知される人間性、経済的信用力を持つ人物が、機構設立の代表として必要と思われます。

★その他の理事としては、政府へのチャネルを持つ者、経済界へのチャネルを持つ者、教育関係者、投資や運用に詳しい者、会計や税務・法務に詳しい者、有名人であり利用者拡大の広報宣伝に協力してくれる者などが必要です。

★なお、この仕組み「喜連川プラン」の提案者として、私が将来設立する(だろう)公益社団法人の研究・運用資金にも寄与したいと考えています。個人での収益は不要ですので、ご配慮いただければ幸いです。

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